通所介護(デイサービス)の利用に関して

通所介護(デイサービス)の利用に関して

ここ最近で、サービス事業所の開設数が増えたのが通所介護(デイサービス)でしょう。
通所介護(デイサービス)の一番の目的は【閉じこもりがちな高齢者を外に出す事】です。
大正生まれの高齢者や、昭和初期の生まれの高齢者は【施設に対しての偏見】が、目立つ事があり
通所介護(デイサービス)へ行くことを(施設全般に)【極端に嫌う】方がいらっしゃいます。
しかし、ここ数年で通所介護(デイサービス)の内容は劇的な変化がみられます。

【通所介護の大きな変化】

① 地域に溶け込むような家庭的な雰囲気の【小規模デイサービス】
② リハビリに特化した【少人数制のリハビリ特化型デイサービス】

現在のデイサービス増加に至る経緯を参考までに、整理してみましょう。
介護保険が始まった当初、通所介護(デイサービス)の数は、地域の数える程しかありませんでしたので
申し込んでも【2~3か月待ち、人気のあるデイサービスは半年以上待ち】の状態が長く続いていました。
又、ケアプランの利用率も今のように高くなく、圧倒的に【訪問介護】の利用が優先的でした。
当時の施設全般にいえていた事ですが、イメージがあまり良くなかったのでしょう。

通所介護(デイサービス)や介護老人施設は、年代別の趣味嗜好を考慮したサービスが行われています。
介護保険が始まった当初の通所介護(デイサービス)利用者の年代は
【明治、大正生まれ】の利用者が中心となっていました
必然的にサービス内容も【童謡、三味線等の純和楽器、折り紙】等が好まれました。
年数が経過し【明治の利用者】が殆どいなくなると、【大正生まれの利用者】が中心となってきました。
この頃のサービス内容は【民謡、演歌、歌謡曲、クリスマス会、ギター演奏、外出】等が好まれました。
現在は【大正、昭和生まれ】の利用者が、利用者の中心となり、サービス内容も劇的に変化しました。
【ヨガを中心にしたリハビリ】
【接骨院が開設しているデイサービス】
【ホテルのような内装のデイサービス】
【銭湯をそのまま利用しているデイサービス】等
多種多様な内容のサービスがあり、自分の趣味嗜好にあったデイサービスを選べるようになっています。
サービス内容の多様化に伴い、利用する方の数も増加し、現在もっとも利用率の高いサービスとなっています。

また、小規模デイサービスが増えたもっとも大きな要因は
【空家の活用】であると言って良いでしょう。
この【民家改修型の小規模デイサービス】は、当時主流だった施設併設型の通所介護(デイサービス)では馴染めない
【認知症高齢者】の方が利用する、当時では【画期的な施設】でした。
認知症高齢者が施設併設型のデイサービスを利用すると、暮らしている自宅とあまりにもかけ離れた空間で混乱してしまい
認知症状が強く出て、他の利用者に迷惑をかけてしまうという理由で【デイサービスの利用を断れる】ケースが多くありました。

通所介護(デイサービス)の種類は大きく分けて

【一般型デイサービス】:認知症症状が無い、又は軽度の利用者が利用
【認知症対応型通所介護】:認知症症状が有る利用者が利用
の二種類のデイサービスがあります。
介護保険が始まってた当初は、一般型通所介護(デイサービス)に
かなり認知症が進行した利用者が通所していた事例が多くあり(家が近い等の理由で)
地域の通所介護サービスの担当者が集まり、認知症の利用者は認知症対応型のデイサービスへ移行した方がよいのでは?
という意見が多数出た為、実際に利用者へ説明し移行を促していた時期もありました。

そこで、「認知症高齢者が暮らしている自宅と同じような環境」で通所介護(デイサービス)が利用できないか?という【新しい発想】が生まれました。

【既存の民家】を【低予算】で改修し
【馴染みのスタッフ】を揃え
【少人数】で一人一人手厚く

のコンセプトのもとに【民家改修型小規模通所介護(デイサービス)】が誕生しました。
この「民家改修型小規模通所介護(デイサービス)」は見事大ヒットとなります。
先ずは、膨らむ社会保障費をどう低く抑えるかが課題であった政策と合致し
既存の民家を低予算で改修し、デイサービスとして生まれ変わらせる事は
新しいデイサービスを一から作るより遥かに低予算で作れます。
当時、使われない【空家】は地方は勿論、大都市部でもかなりの数がありましたので
次から次へと【民家改修型小規模通所介護(デイサービス)】は出来ていきました。
また、メリットは低予算だけではなく【認知症高齢者】の認知症状を軽減させる事に
とても【有効的な手段】となりました。
いままで、通所介護施設に行くことで、強い認知症状が出ていたのが、嘘のように穏やかになり、
認知症症状の改善に繋がったという報告があちこちでみられました。
それから究極の通所施設である【小規模多機能型通所介護(在宅への訪問と宿泊機能が付いた施設)】へ進化していきました。

しかし、その【認知症状を緩和する為の民家の利用】が
いつしか【手軽に施設を開設できる】という事で、一般型デイサービスの開設が増えていき
現在の様な【小規模通所介護、開設ラッシュ】となっていきました。

民家型小規模通所介護施設が増えていく一方、H18年度以降
【要支援者】の健康志向である【リハビリへの欲求】を上手くとらえて
新しい【リハビリを中心】とした【短時間で行う】
【リハビリに特化した通所介護(デイサービス)】が徐々に増えていきます。
当時の介護保険制度は【介護予防】に力を入れていましたので
時代と利用者のニーズが絶妙にマッチングしてこちらも【大ヒット】となります。

この通所介護施設の【大ヒット】のお蔭で、今まで【暗いイメージ】だった通所介護(デイサービス)が
一気に払拭され、介護者の負担を容易に軽減できるその効果が高齢者に受け入れられて
ここまで大きな成長を遂げたのです。

しかし、【平成27年度の介護保険改正】で、一気に【風向き】が変わりました。
数年前まで「空家を活用した小規模通所介護は初期投資が安く済む」と後押ししていた行政が
小規模通所介護事業所の指定数が、右肩上がりに増え続けたために、介護保険の財政を圧迫することを嫌い
180度方向転換したのです。

【小規模通所介護は費用対効果が低い上に単価が高い】
【通所介護が増えた事で、働く従業員が通所介護に集中し、特養や訪問介護へ人材がまわらない】
等の理由で【保険点数を1割近く】下げてしまいました。
現在は何とか企業努力で持ちこたえていますが
この状況が長く続くと今後撤退を余儀なくされる事業所も数多く出てくると思います。

私、個人的な意見となりますが
今の【小規模通所介護の【使命】【役割】】は廃れてきた感が正直あります。
【大正生まれ】の方にはどうにか受け入れられるかもしれませんが
【昭和世代】に受け入れられるのは、難しいと感じる場面が多々あります。

通所介護(デイサービス)は時代の流れを上手くつかみ、利用者や家族に受け入れられてきたと思いますので
これから【昭和世代】の高齢者がどのような【ニーズを持ち】それを上手くサービスにつなげる事で
【まったく新しい形の通所介護(デイサービス)】がヒットすれば
【通所介護大ブーム】が訪れるのでは!と思っています。

【通所介護の利用の効果】
自宅に閉じこもりがち生活を続けていると、どうなるかと言うと

(1日誰とも話さない日が続く)
コミュニケーション能力が低下し、益々コミュニケーションを取らない、又は取りたがらなくなる

(社会性の喪失)
閉じこもることで地域との交流も極端に低下、益々、社会性が喪失する、身なりを気にしなくなる、室内が汚くなる

(しゃべらないことで口腔機能の低下)
むせ込む事で、肺炎のリスクが大きくなる

(認知能力の低下)
認知症が進行し在宅介護の負担が増えてしまう

(動かない事で運動能力が低下)
転倒のリスクが増え、骨折の危険性が大きくなる
など、様々な悪性の要因が増加していきます。

【介護負担の軽減】
一番大きい効果は【介護負担の軽減】でしょう。
通所介護に半日行っている間に介護者がゆっくりと休養を取ることで
結果的には在宅で介護する期間を長くすることができます。

【援助内容】
送迎:車椅子でも乗車可能な、昇降機能付き送迎バスや乗用車で、自宅前まで来てくれます。

体操:簡単だが効果の高い専門的な運動。

個別機能訓練:理学療法士や看護師が、お住まいの自宅環境等に密接した動作を、個別に計画的に行う訓練。

入浴:希望者には、安全に入浴できるよう、入浴設備が整っています。

昼食:介護保険で明確な規定はございません、施設によって様々な提供方法があります。
  ①施設内で専門の調理員が作る場合:(レストランのような本格的メニューや味が可能) 
  ②施設内でスタッフが作る場合:(家庭的な味が特徴)
  ③宅配惣菜を利用し、湯煎などで惣菜を温め、お皿に盛り付けて出す場合:(カロリー計算されています、味が一定)
  ④宅配弁当を利用し、お皿に盛り付けて出す場合:(カロリー計算されています、味が一定)
  ⑤昼食を提供しない:(昼食前に帰宅する)

施設の規模に応じて【看護師】の配置義務があります。

レクレーション:施設独自のレクレーションメニューが用意してあります(1時間半~2時間程度)
音楽:合唱・三味線・ギター・ピアノ演奏・バイオリン演奏・ウクレレ・ハワイアン・民謡
趣味:囲碁・将棋・麻雀・ネイル・生け花・料理・手品
工芸:陶芸・編み物・絵手紙・切り絵・書道・水彩画

外出:年中行事
春:ひな祭り・さくらの花見・鯉のぼり
夏:夏祭り・夏野菜収穫
秋:紅葉狩り・運動会・歴史建造物の見学
冬:クリスマスイベント・お正月
その他、貸し切りバスで日帰り旅行感覚の行事を行うこともります

【利用時間】
2時間以上3時間未満:(施設の規模、要介護度に応じて利用料金が変わります)
3時間以上5時間未満:(施設の規模、要介護度に応じて利用料金が変わります)
5時間以上7時間未満:(施設の規模、要介護度に応じて利用料金が変わります)
7時間以上9時間未満:(施設の規模、要介護度に応じて利用料金が変わります)
延長利用  9時間以上10時間未満
延長利用 10時間以上11時間未満
延長利用 11時間以上12時間未満
延長利用 12時間以上13時間未満
延長利用 13時間以上14時間未満
※施設によって実施している利用時間が異なります、事前に担当に介護支援専門員に確認をして下さい。

【宿泊サービス】
介護保険の適用外のサービスでありますが、殆どの事業所が自主的に行っているサービスです。
魅力は何といっても【低額な料金】でしょう。
事業所によってばらつきはあるものの【800円~1000円】程で宿泊が出来ます。
※現在、介護保険制度の規制はありませんが、都道府県や自治体が独自の基準を定めるようになってきています。
※消防法の基準を満たしていない事業所もあります(スプリンクラーの設置義務違反等)
特別養護老人ホームへ入れない等の特別な事情を抱えている利用者が多いため、直ぐに規制をかけることも出来ないのが現状です。
利用に関しては、担当の介護支援専門員と相談して、施設運営の内容に納得してからの利用をお勧め致します。