地域密着型サービスとは

地域密着型介護サービスとは

平成18年4月の介護保険改正で、新しい考え方の【新サービス】が始まりました。
この新しい制度が始まった背景には

【①認知症高齢者の増加】

【②中重度者が住み慣れた地域で生活するために必要なサービスは何か?と、独居高齢者の増加にどう対応するか】

という、問題が浮上してきました。

【①認知症高齢者の増加にどう対応するかという問題】
当時の統計によると【介護認定調査で8割の高齢者】になんだかの認知症状が認められた為
今後、認知症高齢者に対する対策を早急に進める必要がありました。

【入院や入所する事により環境が変わると、問題行動(妄想、幻覚、徘徊等)が酷くなる】という
認知症高齢者の特徴の一つ【新しい環境への脆弱性】が揚げられます。
そのため、今後は多くの認知症高齢者が、医療機関や施設へ入所出来ないで
【地域で沢山の認知症高齢者をケアする事になるであろう】と予測できたため
これから【地域で認知症ケアをどのように実践していくのか】という新しい取組が始まりました。

【新たな取り組み】
認知症ケアを地域で行う上で、重要なことは【地域住民の認知症に対する理解】を進めることでした
当時は、認知症の利用者に対してまだ根強い偏見がありましたので
地域包括支援センターが中心となり、地域住民に対して【認知症講座】を開催し
認知症の症状の特徴や、接し方等教える事で、地域住民に理解を求める活動を積極的に行うよう制度化しました。
実際に、平成18年度以降、地道な活動が実を結び、また、メディアでも、度々特集が組まれたおかげで
最近は、一般の方の認知症の理解は劇的に進みました。

【認知症に特化しているサービスを新たな制度へ移行】
もう一つの取り組みとして【認知症を地域でケアする為のサービスの充実】が始まりました。
認知症に特化した次の介護サービスを

①認知症対応型通所介護
②認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
③小規模多機能型通所介護

地域の自治体が作成している【介護保険事業計画】に組み込み
【地域の実情に沿った、計画的な整備】をすることになりました。

また、上記の3つの認知症に特化した介護サービスを
より計画的に、より地域の実情に合わせるために

①介護サービスの指定権限を【都道府県】から【地方自治体へ移行】

②実地指導、監査、指定の取り消し等の指揮監督権限を【都道府県】から【地方自治体へ移行】

こうして、これからの認知症高齢者の増加に対応するため
【地域密着型介護サービス】が新しく介護保険に制度化されました。

【②中重度者への対応、独居高齢者の増加にどう対応するかという問題】
もう一つの課題が、【中重度者の対応と独居高齢者の増加】にどう対応するか?でした。
当時、要介護者、その家族、介護従事者に取ったアンケート結果によると

住み慣れた地域で生活を続けるには

①【在宅で24時間の安心できる環境の整備】

②【365日対応するサービスの充実】

という【病院や施設のような機能】が在宅サービスに求められていることがわかりました。

当時でも、訪問介護や訪問看護は、夜間帯の訪問が介護保険で行うことが出来ましたが
殆どの事業所が、負担の大きい【休日、祝日の訪問】や【夜間帯】に未対応でした。

そこで新しく【夜間帯専門】の訪問を行う究極のサービス
【夜間対応型訪問介護】が誕生しました。

スタッフの負担をなるべく軽くするために新しい試みで

①ナースコールボタンのような【コール機】を設置

②地域に【オペレーションセンター】を設置

情報を共有する事により【365日.夜間帯の対応】を実現しました。

利用者宅に設置したコールボタンを押すと、オペレーションセンターへ繋がり
PC画面で【氏名 住所 病名 主治医 家族の連絡先】等の事前に登録してある情報が確認でき
緊急コールを押した利用者とは、コール機に内臓されている、マイクとスピーカーにより
【手ぶら機能】によって、かなり良好な感度でオペレーションセンターと会話が出来るようになっています。

利用金額も【基本料金が1000円】とかなり安く設定されています。
この、新しいシステムが介護保険制度として認められた事で、【夜間帯のサービスの利便性】が格段に上がりました。

現在は、このシステムを利用して
【定期巡回・随時対応型訪問介護・看護】となり、更なる進化を遂げています。

24時間対応となったことと
医療職である【看護】の参加は【画期的】で
【地域が病院や施設の機能】を手にしたと言っていいでしょう。

この二つのサービス
【夜間対応型訪問介護】と
【定期巡回・随時訪問型訪問介護看護】は
地域で、必要不可欠なサービスなので【自治体が主体】となって整備することが望ましいとの事で
【地域密着型介護サービス】と新しいサービスとして、介護保険に制度化されました。

現在の介護保険の流れとして
介護は地域の実情を反映して、サービスの需要と供給のバランスを保つのが理想、との事で
要支援の認定者が平成27年4月から

①介護予防訪問介護サービスと

②介護予防通所介護サービスを
【介護保険の適応除外】とし【地域支援事業】への移行が決まりました。

今後更なる【地域自治体へのサービス移行】が加速して行くと思われます。